大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和41年(オ)113号 判決

上告人(原告・被控訴人) 富士厨房設備株式会社

右訴訟代理人弁護士 松岡益人

被上告人(被告・控訴人) 水上金属工業株式会社

右訴訟代理人弁護士 小野実

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人松岡益人の上告理由第一点(1) について

所論は、原判決は、原告(上告人)が中村ステンレス工業株式会社の代理人として本件不動産等の処分をした旨認定しているが、右のような代理関係の主張はなく、民訴法一八六条に違反するという。

しかしながら、ある契約が甲乙間に成立したものと主張して右契約の履行を求める訴が提起された場合に、裁判所が右契約は甲の代理人と乙との間にされたものと認定したとしても、弁論主義に反するものでないとするのは、すでに当裁判所の判例(第三小法廷判決、昭和三一年(オ)第七六四号、同三三年七月八日民集一二巻一一号一七四〇頁、第二小法廷判決、同三七年(オ)第一四〇〇号、同三九年一一月一三日裁判集七六号五七頁など)とするところであって、今なお、これを変更する要を認めない。

したがって、所論のような事実認定をした原判決には、弁論主義に反する違法はなく、また、当事者の申し立てない事項について判断をした違法があるともいいがたい。それ故、論旨は、採用しがたい。

同第一点(2) および第二点について

原審の事実認定は挙示の証拠によって肯認し得、原判決には何等所論の違法はない。それ故、論旨は、採用しがたい。

よって、〈以下省略〉

(裁判長裁判官 松田二郎 裁判官 入江俊郎 裁判官 長部謹吾 裁判官 岩田誠 裁判官 大隅健一郎)

上告代理人松岡益人の上告理由〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例